マイクロプロセサのクロックの向上は6??8GHzで頭打ちであり、性能を向上させるためにはマルチコアに向かわざるを得ない。また、全ての情報をディジタル化してXMLで表現する方向であり、マルチコアとXML処理を効率的に利用するにはソフトウェアのブレークスルーが必要と述べた。そのブレークスルーは、手続き的にやりたいことを記述するのではなく、人々はやりたいことを宣言し、ソフトウェアが必要な資源、それがローカルであるか、ネットを通して使用するものかも含めて必要な資源を確保して結果を返すというような種類のブレークスルーだ。

Microsoftは最近、イギリスの国家プロジェクトであるe-Scienceの指導者で、Southanpton大学教授のTony Hey氏を引き抜き、科学技術担当の副社長に据え、HPCの強化に力を入れる姿勢を示している。と、思っていたら11月25日にスパコンの本家とも言えるCRAY社のChief ScientistであるBurton Smith氏がCRAYを辞め、Microsoftに移ると報道された。CRAYの歴史を語るのは長い話になるが、現在のCRAYは、Terraという別のスパコン会社が旧CRAYを買収して、名前としてはよりアピールのあるCRAYに社名変更したもので、Smith氏はこのTerraの創立者の一人だ。ということでCRAYの技術の顔というだけではなく、米国のスパコンの顔とも言うべきBurton Smith氏が、英国の科学技術計算の顔であったTony Hey氏とともにHPCを推進するのだから、MicrosoftはHPCに本腰を入れたと思われる。

また、SCでの発表論文の大賞ともいえるのはGordon Bell賞だが、この賞に名を関したGordon Bell氏も今やMicrosoftの従業員で、最近は頭にカメラやマイクを装備して、体験したこと全てを記録してデータベース化するというプロジェクトを推進している。